デザイン

無料で1970年代NASAのロゴや出版物のデザイン資料がダウンロード可能に


NASAは青い円の上に白抜きで「NASA」と書いたロゴを2015年時点では採用していますが、1970年代から92年までの約20年間は、今とは違う「ワーム」と呼ばれるキャッチーで近未来的なロゴマークを使っており、ワームを含むグラフィックの規格書「NASA Graphics Standard Manual」が無料で公式サイトからダウンロード可能となっています。当時の雰囲気が感じられるレトロなデザインの数々を見ることができ、いろいろと刺激を得られそうな内容です。

Reissue of the 1975 NASA Graphics Standards Manual. by Jesse Reed & Hamish Smyth — Kickstarter
https://www.kickstarter.com/projects/thestandardsmanual/reissue-of-the-1975-nasa-graphics-standards-manual

NASA Graphics Standard Manual | NASA
https://www.nasa.gov/image-feature/nasa-graphics-standard-manual

「NASA Graphics Standard Manual」は1974年にリチャード・ダン氏とブルース・ブラックバーン氏という2人のデザイナーによって作られた「ワーム」がどのようなデザインなのか、ということをまとめた資料。NASAが月に人を送り込んだのが1969年の出来事なので、その直後、宇宙開発競争が行われている時期のリデザインということもあり、現在のイメージとは全く異なる、キャッチーで近未来的なものを意識した雰囲気となっています。

そして、2015年になり、ニューヨークのグラフィック・デザイナーであるジェス・リード氏とハミッシュ・スミス氏がワームのグラフィックデザインの規格書をデザイナー本人であるダン氏から入手し、書籍化すべくクラウドファンディングプラットフォームのKickstarterで出資を募りだしたのが9月1日のこと。プロジェクトは人気を博し、締め切りまで25日を残した時点で既に目標額の15万8000ドル(約1900万円)を大きく超える68万5000ドル(約8250万円)以上を集めていたのですが、9月9日に突如としてNASAが「NASA Graphics Standard Manual」のPDFファイルを無料で公開しました。

NASA Graphics Standard Manual | NASA
https://www.nasa.gov/image-feature/nasa-graphics-standard-manual



PDFファイルのダウンロードは上記のページにある「NASA Graphics Standards Manual (1976)」をクリックすると始まります。


ということで、実際にダウンロードしたPDFファイルの一例は以下から。

これがワームのロゴ。丸みのあるサンセリフのデザインで、AとSがつながっており、Aの真ん中の横線が省略されています。


ロゴは黒と赤の2色でデザインされました。赤いロゴは文字を躍動的に見せ、NASAの未来志向的なところを表現しているとのこと。なお、赤いロゴはセカンドカラーが使え、背景が白および明るい色の時のみの使用が想定されていました。


色だけ取り出してみるとこんな感じ。NASAの赤は完全な赤ではなく、黄色を混ぜてあるそうです。また、赤と一緒に使用されるためのグレーも考案されました。


いろんなサイズでロゴを表示しているのが以下の画像。小さくなっても丸みや文字同士のつながりが確認でき、NASAのロゴであると認識できるようになっています。


NASAのロゴはこんな感じで各書類に添えられたり……


出版物に記載されたりします。


間違ったロゴの使い方集もあります。文字を斜めにしたり影を入れたりストライプにしたりするのは厳禁。上段真ん中にあるロゴは現在のロゴに近い気もしますが、「べた塗りの図形の上にロゴを入れてはいけない」とのこと。


リーフレットなどのカバーデザインも考案されました。影だけでスペースシャトルが表現されたものや、アポロ11号で月に降り立った時の写真が使用されたものが並んでいます。


写真を全面に押し出した表紙でも、ロゴはオシャレに映えます。


プレス向け資料のデザイン。ほぼ文字だけのシンプルなデザインなのですが、ロゴタイプとレイアウトによって印象的に仕上げてあります。


当時のポスター案。ポスターの文字は内容がしっかり認識できるぐらいに大きく、シンプルかつ力強いフォントが使われています。


標識あれこれ。


車体にロゴを入れるとこんな感じ。


赤い車体に白抜きの文字でデザインされたものもあります。


航空機のデザインや……


宇宙船のデザインも。


当時のNASA職員の制服は以下のような感じでした。


なお、Motherboardの取材に対し、Kickstarterでプロジェクトを展開しているリード氏は「NASAの行動が我々のプロジェクトを受けてのものだとは断言できませんが、私はそう考えています。PDFは情報を得るのに最も簡単な方法ですし、NASAがガイドラインを公表したのは素晴らしいことです」と語っています。また、NASAのPDFファイルは画質が荒いのですが、プロジェクトを通じて製作する本はクオリティの高いものとなっており、PDFファイルよりも当時のデザインがより理解できるとのことで、予定通り本は出資で集まった資金によって出版されるようです。

なお、Kickstarterプロジェクトでは79ドル(約9500円)の出資で本が1冊ゲット可能で、締め切りは10月6日の午前4時となっています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
強いロゴを作るために必要不可欠な4つのルール - GIGAZINE

Googleがロゴを一新、こだわり抜いたデザインは何が違うのか? - GIGAZINE

無料でオリジナルデザインのロゴが誰でもカンタンにすぐ作れてダウンロードも可能な「Free Unique Logo Creator」 - GIGAZINE

記憶に残るロゴをデザインするために自身に問いかけるべき6つの質問 - GIGAZINE

見方によっては「アレ」や「コレ」に見えてしまう世界のロゴデザイン16選 - GIGAZINE

これがNASA流の仕事術、「プロジェクトマネージャーが守るべきルール100」が公開される - GIGAZINE

in デザイン, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.