ハードウェア

世界初のカーボンファイバー出力対応3Dプリンター「Mark One」


カーボンファイバー(炭素繊維)は鉄の4分の1の比重で10倍の強度を持つ「軽くて丈夫な」素材ですが、短所として加工が難しく製造コストが高いという点が挙げられます。そんなカーボンファイバーを世界で初めて出力できるようにしたデスクトップサイズの3Dプリンターが「Mark One」です。

The world's first Carbon Fiber 3D Printer
https://markforged.com/

世界初のカーボンファイバー3Dプリンター「Mark One」がどのようにカーボンファイバーをプリントしているかは以下のムービーから見ることができます。

Meet the Mark One: the world's first Carbon Fiber 3D printer - YouTube


Mark Oneの内部で印刷がスタート。


ヘッド部分から黒いカーボンファイバーのフィラメントが平べったく出力されているのがわかります。


また、台座が下がっていくことで……


このようにカーボンファイバーによる立体物もプリント可能。出力方式は従来のFFF方式と独自技術のCFF(Composite Filament Fabrication)方式に対応しており、最大出力サイズは305mm×160mm×160mmです。


自宅で軽量かつ丈夫な素材のカーボンファイバーを使った部品を制作することができます。


カーボンファイバー以外にもガラス繊維ナイロンPLAケブラー繊維の加工が可能。


元航空宇宙エンジニアであるCEOのグレッグ・マーク氏は、 高性能レースカーの設計・製造にも携わっていた経験から、カーボンファイバー3Dプリンターの発想を得たとのこと。


以下はMark Oneで製作したレースカーのウィングベース。「カーボンファイバー+ナイロンベース」、「蜂の巣状のナイロン」、「CFF出力カーボン+ナイロンケース」と複数の素材を合わせて3枚を組み合わせることで、軽量かつ丈夫でコストを抑えた実際のレース仕様のウィングベースを製作できるというわけです。


ソフトウェアの設定によって、蜂の巣状のレイヤーを構成することも可能で、コストと重量を抑えることができるとのこと。


以下はMark Oneで3Dプリントした際の素材のコスト例。カーボンファイバーを合わせた軽くて丈夫なウィングパーツは19.07ドル(約1954円)、ナイロンのみで作ると8.91ドル(約913円)となっています。


Mark Oneで出力可能な素材のコストをポンド(1ポンド=453.592g)/立方インチ/立方センチごとに見てみると、
・カーボンファイバー:1ポンドあたり550ドル(約5万6360円)/1立方インチあたり25.34ドル(約2600円)/1立方センチあたり1.55ドル(約158円)
・ガラス繊維:1ポンドあたり199ドル(約2万円)/1立方インチあたり10.96ドル(約1123円)/1立方センチあたり0.67ドル(約69円)
・ナイロン:1ポンドあたり99ドル(約1万円)/1立方インチあたり3.65ドル(約374円)/1立方センチあたり$0.22ドル(約22.5円)
・PLA:1ポンドあたり22ドル
となっています。


7mm×3mm×100mmでプリントしたカーボンファイバーをアップで見ると、とても精密な細かさでプリントが可能であることがわかります。


本体の寸法は360mm×575mm×322mm。


カーボンファイバーを加工するには通常大がかりな設備が必要ですが、Mark Oneはすっきりとデスクトップに置けるサイズとなっています。


なお、Mark Oneは現在以下のページからプレオーダーを受付中です。テスト用フィラメントとしてカーボンファイバー(100立方センチ)、ガラス繊維(150立方センチ)、ナイロン(1000立方センチ)、PLA(1000立方センチ)が付属したMark Oneの価格は4999ドル(約51万2300円)。上位バージョンにあたる「Mark One デベロッパーキット」は8799ドル(約90万円)となっています。デベロッパーキットはケブラー繊維が出力できるほか、ソフトのプレミアムサポート付き、早期発送、2種類の素材を同時に出力可能なモデルとなり、テスト用フィラメントとしてカーボンファイバー(200立方センチ)、ガラス繊維(300立方センチ)、ナイロン(2000立方センチ)、PLA(2000立方センチ)が付属しています。

The world's first Carbon Fiber 3D Printer
http://markforged.com/#pre-order

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in ハードウェア,   動画, Posted by darkhorse_log

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