取材

意外と普通に観光できたモスクワ、街中には「おそロシア」としてネタにされる理由がちらほらと


日本にもよくあるクマの置物が凶暴な顔していたり、バーガーキングやケンタッキーフライドチキンといったファストフードでビールが注文できたりと、びっくりさせられる事がありながらも、ビザさえ取得しておけば、ロシア観光自体はスムーズでした。かつては社会主義陣営の盟主としてアメリカ合衆国と対峙した背景もあって、華のない無機質建物群は旧ソ連時代の空気を今に伝えます。

こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。11月初めに5泊6日の滞在でしたが、ロシアの首都モスクワを観光してきました。クリミア危機やウクライナ東部の騒乱に対する、欧米の経済制裁によってルーブル価値が下落していたので、日本の円安を感じないほどでした。原油価格の低迷から、ルーブルが暴落した今なら、なおさら旅がしやすそうです。

飛行機はモスクワ南部のドモジェドヴォ空港に降り立ちます。ロンドンからモスクワへのフライトはLCCのイージージェット利用で183.03ドル(1万9635円)でした。


飾り気なくだだっ広いターミナル内。空港に降り立った時から、いつもとは少し違ったロシアの空気が流れています。


◆天気
滞在中は曇りの日が多く、寒い日で0度前後でした。灰色の空に、テンションは上がりません。


日が沈むのも早いので、行動できる時間も限られます。


最終日にようやく見れた晴れ間。


◆キリル文字とロシア語
ロシアに降り立つと、日本では見慣れないキリル文字が飛び込んでくるでしょう。Ч、И、Ж、Яなんてどう読めばいいのやら。私たちの知っているアルファベットも、C(シー)と書いてあるものがS(エス)だったり、H(エッチ)をN(エヌ)と発音するので、かなり混乱します。( ゚д゚)という顔文字の口部分もキリル文字です。

これでストップと発音します。


スポーツマスターと書かれた看板。


ただ、ロシア語のアルファベットは全部で33文字しかないので、覚えられないこともありません。中央アジアのカザフスタンや、バルカン半島のマケドニア、ブルガリア、セルビアも同じ文字を使っているので、世界中を旅するなら勉強して損は無いでしょう。世界中で展開している企業もキリル文字の看板が掲げられていました。

Макдоналдс(マクドナルド)


Старбакс кофе(スターバックス・コーヒー)


Баскин Роббинс(バスキン・ロビンス)、日本だとサーティーワンアイスクリームの名前で展開されています。


Данкин Донатс(ダンキンドーナツ)


Ашан(オーシャン)、フランス資本の総合スーパーマーケットチェーンで、海外展開に積極的。


ДЕКАТЛОН(デカトロン)、こちらもフランス資本で、総合アウトドアショップです。


このキリル文字と同様に「Book Shop」といった簡単な英語すら通じないロシア語の世界にも苦労させられました。ありがとうは「スパシーバ」、はいは「ダー」、お願いしますは「パジャルースタ」とユーラシア横断の際に覚えた単語を思い出しながらのロシア滞在。いつもは決して使わない言葉が、片言でも通じると気持がいいものです。ハラショー。

◆モスクワの足となった地下鉄
1回券が40ルーブル(約100円)ですが、5回券だと1枚あたり32ルーブル(約85円)となるので、幾日か滞在する場合はまとめて購入しておくとお得でした。プラスティックではなく、簡単に破けそうな厚紙の乗車券ですが、回数券だと何回も使用できるので不思議。くたびれた改札口に乗車券をかざして、駅の構内へと進みます。どこに行くにも歩きと地下鉄で済ませていました。

宿の近くにあった駅。


構内のドアは重く、押したドアから手を離すと強く反発してしまいます。なぜか利用者と相容れない仕様でした。


地下鉄は深い所を走っているので、駅のホームまではエスカレーターで1分以上かかります。


高級感を漂わす駅の構内。


かなり古い車両も走っていました。ピークでは3分に1本程の頻度で次々と電車がやって来ます。


乗り換えをスムーズにこなすには、プラットホームの前にあるこのボードを確認。目的地が書いてあれば、進行方向に問題なし。乗り換えが必要な場合は、次のラインの番号を確認して、何個先で降りるか数えてから、乗り込んでいました。


◆街を歩いてみれば
かつて旅した旧ソ連圏と同様に、豪快な土地の使い方をしているので、建物から建物まで遠く街を歩くのも疲れます。そして大きなビルにはたいてい地下室が存在し、コンビニエンスストアや郵便局が営業していました。今回利用した安宿「Hostel "Come&Go"」も、レセプションも部屋も全てが地下に。旧ソ連圏に滞在すると、意外な地下室の使われ方が目に留まります。

塗りたくったペンキが地面に飛び散っている仕上がりに驚愕。


確かに冬の寂しい空で、街を彩りたい気持ちも分かります。だからといって、この色遣いはないでしょう?


お土産物屋さんの前にあるクマの置物がやけにリアル。


壁に貼られたレトロなポスター。


新聞や雑誌の自動販売機も、なんかいい味を出していました。


ローカルマーケットを歩いてみても、ゴミゴミとしてないのが逆に不思議。


モスクワ市内にはショッピング・モールも何軒かありました。綺羅びやかな空間が演出されています。


一方で、画一的な巨大ビルが立ち並ぶ不気味な光景。


なんかこうした無骨な建物に、社会主義国家として歩んだ歴史を感じていました。


私たちの知ることのないサブウェイがロシアに。この店構えには、度肝を抜かれます。


首都にも関わらず水はけが悪いのか、モスクワの自動車は泥でくすんでいました。


◆何を食べていたの
ハンバーガーとポテトにビールが合うのは当然。ロシアのBURGER KINGやKFCといったファーストフードではビールの注文が可能でした。ロシアといえばウォッカばかりが目立っていますが、ビールの消費量も世界有数です。


トルコ料理でもあるはずのケバブを発見。でも、スープはロシア料理のボルシチという説明。ガッツリとお腹いっぱいになるこのセットは219ルーブル(約600円)でした。


グルジアの巨大な肉餃子「ヒンカリ」やトルコ風ピザの「ピデ」もあったり、意外とオリエンタルな食事情。


旧ソ連圏のスーパーは魚介類が豊富だったのですが、ロシアも同じような感じだったのでテンションが上りました。


生のサーモンは塩味がきつい……。ただ、日本の刺身のようでしたから、熱々のご飯にのせて食べたら、美味しかったかもしれません。


日本の「いくら」はロシア語でも「イクラ」と発音します。ただし、ロシア語でイクラは「魚の卵」を指す言葉なので、キャビアもイクラの一種だったり。鮭の卵ではないと思うのですが、パンに挟んで食べていました。


イカやタコが入った海鮮ミックスはパスタの具となります。


蟹味のポテトチップスも発見。口に入れるとムワーッと蟹の風味が広がって、個人的には微妙でした。


◆絶対に外せない赤の広場
モスクワを訪れたら、是が非でも足を運びたいのが赤の広場。観光パンフレットの表紙を飾る「聖ワシリイ大聖堂」に、商店街を丸ごとドームで覆った巨大な総合デパート「グム百貨店」や、大統領府が置かれる「クレムリン」と、モスクワの中心だけでなく、ロシアの中心として多くの人々が集まります。

不思議な雰囲気が漂う聖ワシリイ大聖堂。ゲームソフトのテトリスでも有名で、ロシアといえばこの建物を思い浮かべる人も多いでしょう。


不規則なデザインが重なって、奇妙な統一感を醸し出していました。


おもちゃ箱から出てきたような外観で、お菓子の家のイメージも重なります。


大聖堂の反対側に位置するのは国立歴史博物館。


大聖堂を挟んで左側にグム百貨店、右側にクレムリンが位置しています。


モスクワの中心・赤の広場を訪れる - YouTube


赤の広場に接するグム百貨店は、かつては国営百貨店として、現在は高級百貨店として、ロシア経済の今がひと目で分かります。


ロシア革命を成功させ、ソビエト連邦の初代指導者となったウラジーミル・レーニンを祀るレーニン廟は、観光客でも中に入ることができました。ピクリとも動かない軍服の警備兵が要所要所に立っています。表情一つ変えることの無い姿にはドッキリとさせられました。警備兵が見守る重苦しい空気の中に、防腐処理を施されたレーニンの遺体が安置されています。政治的な場所でもあって内部の写真撮影はできません。このレーニン廟も赤の広場にありました。


レーニン廟の後方は城壁に囲まれた巨大なクレムリンの宮殿が広がっています。


赤の広場から国立歴史博物館方面へ向かい、ヴァスクレセンスキー門を抜けると、ロシア全道路の基点となるモニュメントがありました。チャリダーマンですので、こういう場所は惹きつけられます。


◆赤の広場に集まる人々
多くの人が行き交う赤の広場。たくさんの人がカメラを構えていました。


聖ワシリイ大聖堂を背景に記念撮影。


キリッとしたタキシードに身を固めた新郎と、華やかなウェディングドレスに纏った新婦。赤の広場は結婚式の撮影スポットとして、ロシアのカップルに人気だったりします。


好奇心で目をキラキラとさせていたこちらは、学校の課外授業にでもなるでしょうか。


寒さで厳しいロシアですから、子どもたちも厳寒体制。プニプニとした子どもたちが、更に着込んで丸々となって、その愛らしさといったらもう。


家から布団を持ち出してきたかのように、しっかりと包まれていたベビーカーの赤ん坊。


「何してるの?」と気さくに話しかけてくれた若者たち。


記念写真を撮ってくれた美男美女の素敵なカップル。


そして忘れることのできないロシア美女。柄でもないのに声をかけて写真を撮らせてもらいました。セルビアもウクライナもそうでしたが、スラブ系の国々ではスラーっとした顔立ちの素敵な女性が街を歩いていて、思わず立ち止まって見惚れてしまうほど。「小さいころは妖精」とインターネットで話題となるのもよく分かります。


入国さえ済ませたら、後は普通の国と同じように旅ができたロシアでした。世界の歴史を語るには外せない大国だからこそ、目に飛び込んでくる景色も新鮮です。これが、いわゆる「おそロシア」としてインターネットを賑わしている訳なんですけど。ともかく刺激的な国ですから、またいつの日か訪れることができたらと願っています。

(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak
)

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in 取材, Posted by logc_nt

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