サイエンス

火星に人間を移住させるとしたら費用はどれくらいか?ということを図示した「The Cost of Living on Mars」


人類の祖先は火星から隕石に乗って地球にやってきたという学説があったり、火星にいる地球人からメールが送信されてきたりと、地球とのつながりを強調されることが多い火星ですが、現在SpaceX社イーロン・マスクさんによって8万もの人々を火星のコロニーに移住させる計画が進行中です。まるで映画のような話ですが、実際に火星に人間が住むとしたらどれくらいのコストがかかるのか?ということで、WIREDが1人あたりの火星への移住費用をインフォグラフィックにしてまとめています。

Infographic: The Cost of Living on Mars | GeekDad | Wired.com
http://www.wired.com/geekdad/2013/01/mars-infographic/


地球から火星までの距離は4億200万kmです。地球から探査機ローバーを火星に送り出す時にかかった費用は重さ1ポンド(約453g)あたり90万ドル(約8200万円)で、ローバーは1982ポンドだったため合計費用は18億ドル(約1600億円)になりました。ちなみに、スペースシャトルの費用は、1ポンドあたり1万ドル(91万円)、ファルコン9は3000ドル(27万円)です。


会社ごとの予想渡航費用は、NASAが1000億ドル(約9兆1000億円)、SpaceXが360億ドル(約3兆3000億円)、SpaceXとはまた別に宇宙を目指しているThe Mars Societyの場合は300億ドル(約2兆7000億円)になります。


最も安い会社を使っても世界を船で250万回周遊できる計算です。


ただ火星に到着すればいいというわけでなく、到着後に暮らすためのシェルターも必要。十分に暮らせるだけの120立方メートルのシェルターは、NASA製だと2億6700万ドル(約242億円)で、SpaceX製だと1億5000万ドル(約136億円)になります。


もちろん食料も必要です。大人1人が1日に必要とする水の量は3.7Lで、食べ物は1200~1500kcalとされており、それらの食料を運ぶためにはさらに1年につきNASAで4200万ドル(約38億円)、SpaceXの場合は1300万ドル(約12億円)の費用がかかります。


火星で自給自足して暮らすことも可能なのですが、そのためにはまず水が必要。火星において水は巨大な氷の塊として存在するので、氷を水に変える機械を火星に運んで始動させるのにNASAなら1540万ドル(約14億円)、SpaceXなら460万ドル(約4億2000万円)がかかります。さらに、1人分の食料を耕作するにあたって必要な機械やシェルター・植物を運ぶのにNASAの場合209億ドル(約1兆9000億円)、SpaceXの場合117億5000万ドル(約1兆1000億円)が加算されます。費用はかさんでしまいますが、植物は酸素を作り出してくれるのという利点もありオススメです。


火星には通信システムがないため、連絡はNASAの2001マーズ・オデッセイを頼るしかありません。テキストメールにかかる通信料は地球よりも20%も安くなっていますが、帯域を広くした場合、1分あたり209ドル(約1万8000円)の電話料金が発生し、75kb(約9キロバイト)のメールを送った際の料金も209ドル(約1万8000円)となります。また、YouTubeでPSYの「Gangam Style」ミュージックビデオ(4分13秒)を1080pで見たとすると、3万7244ドル(約338万円)かかります。


というわけでさまざまなコストを合計すると、火星に人が1人住むにあたってNASAを利用すると1210億ドル(約11兆円)、SpaceXを利用すると480億ドル(約4兆4000億円)が必要。ごれは一見途方もない額に見えますが、アメリカの国防予算である7110億ドル(約65兆円)を火星への移住にあてると、15人もの人を送り出せる計算。


もし人々が一緒のロケットで乗り込み、住む場所をシェアするとさらにコストを削減できるため、マスクさんの構想も「絶対に不可能」というわけではなさそうです。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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