取材

地獄のぞきに百尺観音、「鋸山」は千葉県屈指の観光地


頂上にある展望台、日本寺の大仏、千葉県南部にある鋸山は自然的にも文化的にも魅力あふれる場所でした。そもそも「のこぎり」という名称が強すぎます。どんなところか気になりませんか。

こんにちは、自転車で世界一周をした周藤卓也@チャリダーマンです。お盆休みに東北福島を訪問したときに使った青春18きっぷが余っていたので、休日に千葉県をくるっと回ってきました。ずっと気になっていた場所でしたが、鋸山は控えめに言って「最高」でした。

◆漁協直営食堂ばんや
東京西部のアパートを出て都心へ、そこから千葉へ、そして更に南へ。まずは鋸南町の保田駅に降りました。千葉県といえば九十九里浜も房総半島もあるし海というイメージでした。だったら美味しいお魚が食べられるはずとネットで探してみたところ、漁協直営の食堂を発見。鋸山の前に腹ごしらえが必要でした。

漁協直営食堂ばんや ~房総沖で獲れた新鮮な海の幸~
http://www.banya-grp.jp/

JR内房線「保田駅」の駅舎。


駅を出て南へ。食堂までは約1kmちょっと歩きます。漁港が見えたらあと少し。


水色の屋根をした建物が「ばんや」です。


入ってまず目につくおすすめの料理の品々。


いけすもありました。


その日は、朝獲れ寿司(税抜き800円)を注文。シャリの量とネタの大きさが同じくらいというボリューム満点のお寿司でした。


続いて、漁師まかない丼(税抜き1200円)。こちらもぶつ切りの刺し身がこれでもかという量で乗っていました。


程よく脂がのったお魚が口の中でとろけていくような感覚。新鮮な海の幸を思う存分堪能しました。

店内に張られてある本日のネタを記載した紙。見慣れない「ワラサ」という魚は体長60cm~80cmのブリのこと。出生魚のブリは大きさによって名前が変わるのですが、地域によっていろんな呼び方があるようでした。


◆鋸山
お腹も膨れたところで、食堂ばんやから鋸山を目指します。鋸山へのアクセスはロープウェイを使うと簡単でした。でも、それだけじゃ面白くありません。旅心が満たされません。だから、片道は歩くつもりでした。上りでロープウェイを使うと楽ですが、降りた保田駅からロープウェイがある浜金谷駅への電車は1時間に1本程度。タイミングも悪かったので、そのまま歩いて鋸山へと向かいました。下りでロープウェイを使おうという計画でした。

鋸山ロープウェー
http://www.mt-nokogiri.co.jp/pc/p010000.php

鋸山へ向かう道、となりのトトロの「♪歩こう歩こう」という歌を口ずさみながら、小さな男の子の兄弟が浜辺のそばを歩いていました。素朴な田舎の港町。

鋸山の場所はここ。


そびえ立つ壁のような鋸山。その全景はたしかにノコギリのようです。


だいぶ近づいてきました。海辺と鋸山の境は断崖絶壁となっています。


頂上付近に白い建造物が見えました。あそこまで上っていきました。


国道を歩いていくと「鋸山」「日本寺」という標識がちゃんとあります。


日本寺は約1300年前、聖武天皇のはたらきかけを受け、高僧行基によって開かれた関東最古の勅願所といわれています。鋸山の山頂や地獄のぞきという絶景スポットはいずれも日本寺の境内です。

鋸山 日本寺 公式サイト
http://www.nihonji.jp/

表参道から、日本寺の境内へ。


階段をいくつもいくつも上っていきます。


阿吽の金剛力士像が祀られている仁王門。ここの管理所で拝観料(大人600円・小人400円)を支払いました。


まずは一目散に大仏広場へ。


こちらの大仏、座像としては日本一の大きさといわれています。その総高は約31m。奈良の約18m、鎌倉の約13mと有名な大仏と比較しても、その大きさは抜きん出ています。また、自然石で作られた大仏としても日本一の大きさというお話。

日本寺の大仏は1783年に完成しました。しかし、長年の雨風による侵食で江戸時代末期には著しく崩壊。そのまま長い間放置されていました。現在の大仏は1969年に修復、復元されたものとなります。

ちょっと伝わりにくいかもしれませんが、現地で見ると威圧感が半端ありません。度肝を抜かれる大きさの大仏でした。


背後の石と一体となっている大仏様。奈良とも鎌倉とも違う大仏のかたち。


大仏広場にあるお願い地蔵尊。小さなお地蔵様に名前を書いて奉納すると願いがかなえられるという信仰でした。


大仏広場から、一気に山頂を目指します。

通天閣と見間違えた通天関という岩のトンネル。天へ通じる道といったところでしょうか。


岩陰に安置されたいくつもの仏像。


息を切らしながら階段を上ると、体にも熱がこもってシャツが汗でびっしょり。少し上っては頭上を見上げてを繰り返していくと、次第に木々が減っていきます。きつくなったら足を止めて息を整えて。そうしていると階段もおしまい。頭上を見上げても遮るものがなく青い空が広がったら、そこはもう山のてっぺん。

階段を登りきると明日香の石舞台古墳のような東屋が頂上にはありました。ここが山頂展望台となります。


鋸山の山頂には「地獄のぞき」という絶景スポットがあります。断崖絶壁からちょこんと岩盤がせり出していて、約100m下の世界を一望できます。冒険記の主人公の気分を味わえそうな見事な突っ張り。

インスタ映えしそうなスポット。


垂直に切り立った崖が続いていました。


山頂だけあって清々しい見晴らしが広がっています。こちらが上ってきた鋸南町の保田駅一帯。


太平洋と東京湾をつなぐ浦賀水道。反対側の陸地は神奈川県の三浦半島。東京湾フェリーの金谷(富津)~久里浜(横須賀)という航路があるところです。


こちらが富津市の浜金谷駅一帯。


浜金谷駅より内陸は緑あふれる自然でいっぱいでした。


緑の森の中にそびえ立つ絶壁。


この山頂展望台の真下には絶壁に囲まれた謎のスペースがあります。そこまで降りていくと……


「ラピュタは本当にあったんだ!」と。そう、千葉にありました。人の手が入った石壁が織りなす巨大神殿のような空間。この無機質な人工物と覆い尽くさんばかりと茂る緑の木々は、ジブリ映画ラピュタの世界でした。失われた古代遺跡を探検しているようでした。

神秘的な小道。


絶壁の谷間。


ここは、昔の石切り場(採石場)。鋸山では江戸時代から盛んに採石が行われていました。切り出された石は房州石と呼ばれ、建築資材として利用されました。使われた房州石は靖国神社や早稲田大学に残っています。鋸山で見られる人工的な崖や石壁はかつての採石の跡というわけです。自然保護の観点から、現在の鋸山では採石は行われておりません。

ここには百尺観音という石像が納められています。高さ百尺は約30m。ガンダム、エヴァンゲリオン、マジンガーZといった巨大ロボットの姿が重なりました。


この石像も古いものではりません。世界戦争戦死病没殉難者供養とあらゆる交通事故の犠牲者供養を目的として1966年に完成。交通安全の守り本尊として崇められています。


足元から見上げてみた百尺観音。


百尺観音のある広場から地獄のぞきを見上げてみて。


また、記事で紹介した以外にも、鋸山には石切り場が作った奇妙な景色がある様子。

鋸山で、石切り職人をたどる ー後編 | ふっつかよい
http://futtsukayoi.net/2013/02/19/554/

石を巡る探訪記。「ラピュタの壁」がある有名な石切り場、鋸山に行ってきました。-後編 | 小野石材店ブログ ¦ 山梨で評判の老舗石屋さん
http://www.stone-ono.co.jp/blog/entry-3433/

百尺観音から西に歩くとロープウェイ駅があります。

鋸山の山頂を発見。標高329mとのことでした。


駐車場がありました。こちらは「鋸山登山自動車道」という有料道路のもの。奥にみえる白い建物がロープウェイ駅。


「いやぁ、楽しかった」と満足して、あとはスーッとロープウェイで下るだけ。それなのに「強風の為運転休止」というまさかの事態。がっくし肩を落とします。


建物の外は猫の楽園となっていました。


もう歩けないので、猫のようにゴロゴロしたい……。


でも、気を取り直して下りも歩きました。ロープウェイが使えなかった結果、浜金谷駅で寸前のタイミングで電車に乗れなくて1時間ほどタイムロス。この日は他にもやりたいことがあったのですが、時間が足りなくなってしまいました。

浜金谷駅から見る鋸山。


それでも鋸山はずっと気になっていた場所なので訪問できて満足でした。予想以上の観光スポットでした。

ちなみに、こちらが日本寺境内のイラストマップになります。


今回はおびただしい数の石仏が奉られている「東海千五百羅漢」という見どころは未訪問なので、もしこれから行く機会があればチェックしてみてください。

(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak
Facebookページ https://www.facebook.com/chariderman/
DMM講演依頼 https://kouenirai.dmm.com/speaker/takuya-shuto/)

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in 取材,   試食, Posted by logc_nt

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