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アメリカ国籍を持つAppleの技術者が「スマートフォンやPCのロックを解除しろ」とアメリカ入国時に求められる


Mozillaの元最高技術責任者(CTO)であり、記事作成時点ではAppleに勤めているAndreas Gal氏が、サンフランシスコ国際空港でアメリカ合衆国税関・国境警備局(CBP)に足止めされ、機密情報の入ったApple支給のiPhone XSおよびMacBook Proのロックを解除するように求められたと述べています。

No one should have to travel in fear – Andreas Gal – Medium
https://medium.com/@andreasgal/no-one-should-have-to-travel-in-fear-b2bff4c460e5

Ex-Mozilla CTO: US border cops demanded I unlock my phone, laptop at SF airport – and I'm an American citizen • The Register
https://www.theregister.co.uk/2019/04/02/us_border_patrol_search_demand_mozilla_cto/

ハンガリー出身のエンジニアであるGal氏は2008年にMozillaに入社して以来、10年にわたってシリコンバレーで働いてきました。Gal氏にとって海外への出張は日常的なことであり、これまでも数多くの出張をこなしてきたとのことで、数年前には優先レーンで入国審査をスピーディーに完了できるグローバルエントリープログラムに登録していたそうです。

事前の面接や登録費用を支払う必要があるグローバルエントリープログラムは、キオスク端末が設置されている特定の空港からアメリカへ入国する場合に限り、パスポートや永住権カードをスキャンすることでスムーズに入国が可能となります。2018年11月29日、ヨーロッパからアメリカへ戻ってきたGal氏がキオスク端末を使ってグローバルエントリーによる入国手続きを行ったところ、なぜかキオスク端末はGal氏に二次検査が必要だと判定したとのこと。

Gal氏は3人の武装したCBPエージェントに囲まれ、現在Gal氏が行っている仕事や前職のMozillaにおける仕事について、根掘り葉掘り問いただされたそうです。やがてエージェントはGal氏の荷物を捜索し、発見したiPhone XSやMacBook Proの端末ロックを解除するように要求してきました。

by Aaron Yoo

しかし、端末はAppleからGal氏に対して支給されたものであり、内部には未発表のソフトウェアや機密情報が保管されていたとのこと。機密保持契約を交わしていたGal氏は、たとえ政府職員であっても他人が端末にアクセスすることは自分の判断で許可できないと主張し、上司や弁護士に連絡してもいいかとエージェントに答えました。しかし、Gal氏の要求はエージェントを怒らせたようで、エージェントはGal氏がアメリカの市民権を持っているにも関わらず、「Gal氏には弁護士に連絡をする権利がなく、ロック解除の要求を拒絶するのは法律違反だ」と脅してきたそうです。

Gal氏は弁護士ではないため法律の詳しい部分については知識がありませんでしたが、3年前に市民権を取得するテストを受けるためにアメリカの憲法について学習していました。そこで、何も法律に違反していないにも関わらず3人の武装したエージェントに囲まれ、脅迫され、デバイスの引き渡しを要求されている状態は、アメリカ市民の基本的人権に関する合衆国憲法修正第5条に違反していると主張しました。

弁護士に連絡を取らせるように主張を行い、尋問に対して黙秘を貫き続けた結果、ようやくエージェントはGal氏を解放したとのこと。デバイスは押収されなかったそうですが、Gal氏は長時間足止めを食らったあげく、グローバルエントリーカードを奪われてしまったそうです。

by nappy

Gal氏は今回のエージェントの要求が無作為抽出による偶然ではなく、暗号化やオンラインプライバシーに関する仕事を続けてきたGal氏を故意に狙ったものではないかと考えています。Gal氏はアメリカ自由人権協会(ACLU)に連絡したそうで、ACLUは今回の一件がGal氏の公民権を侵害したものではないかとの(PDFファイル)申し立てを行いました

ACLUの北カリフォルニア上級顧問であるWilliam Freeman氏は、「Gal氏に対するCBPの根拠のない勾留および尋問、強制的な捜査は、合衆国憲法修正第4条を侵害しています」とコメント。Gal氏も、「アメリカ政府が私を怖がらせようと試みたのであれば、確かにそれは成功しました。私はアメリカの税関を通過するたびに恐怖を感じています。しかし、私は沈黙しません」と述べています。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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