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アーティストが作品を最初から最後まで作るためのペイントソフト「Krita」がバージョン5.0を正式リリース


マンガ作者やイラストレータ等の「プロ作品を最初から最後まで作りたいアーティスト」に向けてオープンソースで制作されているデジタルペイントスタジオKritaが、2021年8月18日にメジャーリリース「Krita5.0」のベータ版を公開しました。2018年3月に正式版がリリースされた「Krita 4.0.0」と比べて、まったく新しいリソースシステムなど多くの新機能や変更が加えられています。

First Beta for Krita 5.0 released | Krita
https://krita.org/en/item/first-beta-for-krita-5-0-released/

Krita | デジタルでのお絵描きと創造の自由を
https://krita.org/jp

Finally! Krita 5 Beta 1 has been released: https://t.co/Jb15s6bYKM , with a new splash screen by @TysonTanX , lots of new features and lots of improvements: https://t.co/S4179eJnzq pic.twitter.com/GOZUoWHOHX

— Krita Painting App (@Krita_Painting)


Krita5.0における変更の詳細はリリースノートから見ることが出来ます。

まず、ブラシのプリセットやグラデーション、パレットなどのリソースをKritaが処理するシステムが完全に書き直されているとのこと。これにより、初めてリソースを実行する際には開始が遅くなるものの、そこで情報がキャッシュされるため、以降の実行では高速で用いることができるようになっており、同時に作業メモリの使用量も軽減できるそうです。


リソースシステムは、快適さだけではなくUIなどの利便性にも変更が加えられています。ブラシやパレットに一括でタグをつけてリソースを自由に管理したり、フォルダごとに配置がしやすくなっているためUSBメモリなどを用いてバックアップを取ったりといったことが可能。

次に、色見本を素早く設定するためのグラデーションがディザリングされ、滑らかになったパターンから色を使用できるようになっています。


また、グラディエーションエディタも改善されてコンパクトになり、以前よりも簡単にグラデーションを作成できるオプションが追加されました。


ブラシに用いられているMyPaintのブラシエンジンもまったく新しい形に改修しているとのこと。Krita5.0では、カラースマッジ(ぼかし)エンジンが最適化されているほか、テクスチャ(質感)ブラシにさまざまな新しいモードが追加されています。


イラストだけではなく、アニメーションを作るための機能も大きく変わっています。タイムラインが再設計されて視覚的な明瞭さが上がり直観的な操作が可能になったことに加えて、アニメーターから要望が多かった「クローンフレーム」の追加、ムービーをアニメーションとしてインポートしてトレーニングやトレースなどを行うことが可能になったなど、その他細かい操作性の改善や利便性の向上が実装されているそうです。


アニメーションの作成に関するさらなる更新点として、ムービーのカット割りやアニメの絵コンテなどを計画するために使用できるストーリーボード「Docker」が追加されています。Dockerを使用すると、シーンに注釈や説明を付けていくことができるほか、PDFなどで出力して共有することができます。


そのほか、作品制作をサポートするさまざまなツールが追加されています。消失点を適度な間隔で水平線上に維持し、遠近法の歪みを視覚化するのに役立つグリッドを描画することで、立体感と奥行きを出せる「二点透視アシスタント」や……


変換ツールでレイヤーを変形するとき、変更前のレイヤーを後ろに透過させることで変更を分かりやすくしてくれる「スタック内変換プレビュー」


その他、楕円(だえん)を回転させながら自由に描きやすいコマンドが追加されていたり、切り抜きツールでレイヤーとキャンバスを残して切り抜きを行えるオプションを使用できたりと、ユーザーの要望や不満を受けたツールやUIが複数更新されています。


Krita5.0のベータ版はリリース告知ページからダウンロードできます。ベータ版で発生した問題を修正したKrita5.0正式版は2021年9月を予定しているとのこと。

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in ソフトウェア,   デザイン,   アート, Posted by log1e_dh

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