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無料メディアプレイヤー「VLC」の公式サイトがインドでブロックされた件で開発元が政府機関に法的通知を送信


VLCメディアプレイヤー(VLC)はオープンソースの無料マルチメディアプレイヤーであり、全世界のユーザーによって使用されています。ところが2022年、インド国内でVLCの公式ウェブサイトがブロックされてしまう事態が発生しており、VLCを開発するフランスの非営利団体「VideoLAN」がインド政府機関に法的通知を送ったことが報じられています。

VLC-developer VideoLAN sends legal notice to Indian ministries over ban | TechCrunch
https://techcrunch.com/2022/10/04/vlc-developer-videolan-sends-legal-notice-to-indian-ministries-over-ban/

VideoLAN threatens to sue India gov’t as ISPs keep blocking VLC website | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2022/10/videolan-gets-no-answers-on-why-website-is-blocked-in-india-threatens-to-sue-govt/

インドのインターネットサービスプロバイダ(ISP)は2022年2月13日以降、VLC公式ウェブサイトへのアクセスをブロックしています。インド国内からVLC公式ウェブサイトのURL「https://www.videolan.org/」にアクセスしようすると、「リクエストしたURLは、インド政府電気通信局からの指示によりブロックされています」という通知が表示されるそうです。

VideoLANの社長兼主任開発者であるJean-Baptsite Kempf氏によると、インドはVLCにとって世界最大の市場の1つであり、全世界のユーザーベースの10%を占めているとのこと。そのため、公式ウェブサイトのトラフィックはブロック後に激減しており、インド国内の8000万人を超えるユーザーが「VLCにマルウェアをバンドルする怪しげなサードパーティーウェブサイト」に誘導される危険があるとKempf氏は警告しています。

無料のマルチメディアプレイヤー「VLC」公式サイトがインドではブロックされていることが判明 - GIGAZINE


この件でVideoLANは、インドのインターネット擁護団体・Internet Freedom Foundation(IFF)の支援を受けて、2022年9月30日にインド電気通信局に法的通知を送付しました。この文書では、公式ウェブサイトがVideoLANやインド国民への事前通知なしにブロックされた上にその理由も説明されていないことについて、「インドの法律やこれまでの判例に違反している」と指摘しています。

VideoLANはインド電気通信局に対し、URLのブロックについての合理的な命令のコピーを送付し、公聴会を開いてVideoLANが自らを弁護する機会を設けるように要求。適切な対応がされなかった場合、法的手続きを開始すると主張しました。


IFFは、「私たちはVideoLANにこれらの要求を行う法的権利があると信じており、政府が法律の文言と精神に従って応じることを望んでいます。私たちはこの恣意(しい)的で違法な検閲に関して、VideoLANに法的支援を提供し続けます」と述べています。

なお、以前の報道では「インドにおけるVideoLANのブロックは、VLCのエクスポートを悪用したサイバー犯罪の報道を見た政府関係者が誤解したことが理由ではないか」との推測もありましたが、Kempf氏によるとインドにおけるブロックはこのハッキング事例が報道される数週間前に始まっていたとのことで、別の理由がある可能性が示唆されています。

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in ソフトウェア, Posted by log1h_ik

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