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1400億円でAdobeがクラウド動画コラボレーションツールの「Frame.io」を買収


100万人以上のプロの映像制作者が利用しているというクラウド型の動画コラボレーションツールである「Frame.io」が、Adobeに買収されることを発表しました。買収総額は12億7500万ドル(約1400億円)です。

Frame.io is joining forces with Adobe in a $1.275B acquisition deal
https://blog.frame.io/2021/08/19/adobe-announces-intent-to-acquire-frameio/

Adobe - Adobe to Acquire Frame.io
https://news.adobe.com/news/news-details/2021/Adobe-to-Acquire-Frame.io/default.aspx

Adobe agrees to acquire Frame.io
https://blog.adobe.com/en/publish/2021/08/19/adobe-agrees-acquire-frameio.html

Adobe acquires 'Frame.io' video editing platform for $1.3 billion - 9to5Mac
https://9to5mac.com/2021/08/19/adobe-acquires-collaborative-video-editing-platform-frame%e2%80%a4io-for-1-3-billion/

動画コラボレーションツールの「Frame.io」は、「Camera to Cloud(C2C)」という技術を用いてユーザーが撮影した映像データをクラウド上に即座にアップロードすることで、撮影現場にいない人が撮影したばかりの映像データをチェックしたり、クラウド上で制作したての映像の試写を行ったりすることができるというツールです。クラウド上で映像データにアクセスすることとなるため、巨大なファイルサイズのデータを共有する必要がなくなり、映像へのフィードバックも素早く受け取ることができます。


そんなFrame.ioが、現地時間の2021年8月19日にブログを更新しAdobeに買収されたことを発表しました。ブログの中で、Frame.ioの共同創設者であるエメリー・ウェルズ氏は「2015年3月に共同創設者であるジョンと私は、ニューヨークシティにあるブティックのポストプロダクションを担当する企業のためにFrame.ioを立ち上げました。Frame.ioは、ポストプロダクションの専門家としてはぐくまれてきた私たちの経験をふんだんに生かした、専門家のニーズを深く理解して構成されたプロダクトです」と、Frame.ioの生い立ちについて語っています。

過去数年間で、動画業界は「前例のない変化を遂げてきた」とウェルズ氏は語っています。具体的には、ソーシャルメディア上でブランドストーリーを語るための動画や、コーディングについてのハウツー動画、新製品発表動画など動画のニーズが高まっているため、プロの映像制作者となるには最適なタイミングになりつつあるとのこと。一方で、動画を供給する側は、「ユーザーの飽くなきニーズにほとんど追いつくことができていないのが現状である」とウェルズ氏。こういった動画需要の爆発的な増加が、Frame.ioの人気を後押ししたとウェルズ氏は分析しています。


そんなFrame.ioがなぜAdobeによる買収を受け入れたのかについては、「Adobeほどクリエイティブ業界に大きな変革をもたらした企業は世界中のどこにもありません。創造性のためのツールはAdobeのDNAの中核であり、Adobeのビジネスの中核でもあります。動画はいくつかのクリエイティブ分野における集大成とも呼べるもので、Frame.ioをAdobeのCreative Cloudと、よりシームレスに統合してほしいという要望をこれまでにもよく耳にしてきました。Frame.ioがイノベーション志向の使命を継続していくだけでなく、Frame.ioを次のレベルに引き上げることができる企業を想像したとき、Adobeは間違いなく適切な買収先だと言えます。また、Adobeは我々を価値観を同じくする企業文化を持っており、我々が成長するのに最適な企業であると確信しています」と説明しています。

一方で、AdobeのCreative Cloudのチーフプロダクトオフィサーであるスコット・ベルスキー氏は、「今回の買収により、我々は信じられないほど顧客志向のチームを迎え入れることができます。Frame.ioのクラウドネイティブワークフロー機能を追加し、Creative Cloudのクリエイティブプロセスをより協調的・生産的・効率的にし、すべての人の創造性をさらに解き放つことを目指します」と語り、Frame.ioを歓迎しています。さらに、「Frame.ioとAdobeは、『Adobeの動画制作における強みと、Frame.ioのクラウドネイティブプラットフォームを統合することで、動画制作におけるコラボレーションの未来を創造する』というビジョンを共有しています」とも語り、2社の見据える先が同じものであるとしています。


ウェルズ氏によると、Adobeによる買収総額は12億7500万ドル。Adobeによると、買収が完了するとFrame.ioの共同創設者兼CEOであるウェルズ氏と共同創設者のジョン・トレバー氏はAdobeの社員となり、ウェルズ氏は引き続きFrame.ioチームを率いることとなる模様。買収完了は、Adobeの2021年第4四半期中を予定しています。

なお、今回の買収により動画コラボレーションツールのFrame.ioがなくなることはなく、将来的にはPremiere ProなどのAdobe製品とのより深い統合が行われることになるとのこと。ただし、Adobeに買収されたからといってその他の動画編集ツールであるFinal Cut Pro、DaVinci Resolve、AVID MediaComposerなどとのコラボレーションが終了するわけではないと、ウェルズ氏は強調しています。

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in ソフトウェア,   ネットサービス, Posted by logu_ii

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